2026年10月16日、Apple が App Store 審査ガイドラインを改定しました。ガイドラインのページは「Last Updated: October 16, 2026」となり、変更点の一覧は開発者向けニュースに載っています。項目は7行で、個人開発者に関係が深いのは3つです。隠し機能を扱う 2.5.19、AI 生成アプリを名指しするようになった 1.2、新設の 2.3.14(クリエイティブアセット)。
以下、変更点を順に見て、対応の表と、Apple が説明していない点をまとめます。ガイドラインと Apple のニュースからの引用は原文のままで、2026年10月17日に原本と照合しました。日本語版の審査基準(ガイドライン)については、Apple が1か月以内に翻訳を公開すると述べています。
2026年10月16日の App Store 審査ガイドラインの変更点#
Apple 自身の要約はこうです。「The App Review Guidelines have been revised to support new features, updated policies, and to provide clarification.」施行日は書かれていないため、公開時点から有効とみなすのが安全です。
| 項目 | 変更内容(Apple のニュースによる) | 対応 |
|---|---|---|
| 2.5.19 | 隠れた機能、休眠中の機能、未文書化の機能に関する新項目。以前は 2.3.1 に含まれていた | ビルドに入っているものはオフのものも含めて Notes for Review に書く。審査員に見せられないコードは外す |
| 1.2 | 対象となるアプリの種類を明確化。Developer Code of Conduct への言及を追加 | ユーザーが投稿・生成(AI 含む)するなら、フィルタ、通報、ブロックを実装する |
| 2.3.14 | クリエイティブアセットに関する新項目 | ヘッダーと検索結果の画像から、価格、割引、検証できない主張を外す |
| 3.1.1(a) | Music Streaming Services Entitlements の項目が StoreKit External Purchase Link Entitlements に統合。リンク先は「permitted destination」 | 外部決済へリンクするなら、許可された遷移先か確認する |
| 5 | 人身取引と児童搾取:App Store から削除し、代替配信でもブロック | 対応は不要 |
| Before / After You Submit | 追加ドキュメントへのリンクを追加 | 提出前にリストを確認する |
2.5.19:隠し機能と「審査後にオンにする」フラグ#
本文はこうです。「Don't include any hidden, dormant, or undocumented features in your app; your app's functionality should be clear to end users and App Review.」続けて、バイナリ内での隠蔽にも触れています。「Attempting to hide undocumented features in your app binary, such as through code obfuscation or other methods, is grounds for removal of your app from the App Store and termination of your developer account.」
背景は別のニュースにあります。審査では別の顔を見せ、承認後に別の機能を有効にするアプリが対象で、例として「nudification」機能が挙がっています。Apple が挙げる昨年の数字は「we prevented over 150K apps with safety issues from reaching customers and terminated over 193K developer accounts for engaging in fraud and abuse」です。
標的は詐欺的なアプリですが、「dormant」という語は、個人開発でよくある習慣にも当てはまります。機能を feature flag の裏に入れてリリースし、審査では見えないまま、承認後にサーバー側でフラグを切り替える。Apple はフラグについて何も述べておらず、これは私の解釈ですが、このコードは「dormant features」に文字どおり該当します。安全な選択肢は2つです。審査中は機能を有効にして Notes に書くか、未完成のコードをビルドに入れないか。
機能を説明する義務は 2.3.1(a) に残っています。「All new features, functionality, and product changes must be described with specificity in the Notes for Review section of App Store Connect (generic descriptions will be rejected) and accessible for review.」曖昧な説明は却下すると明言されているので、避けやすいリジェクト理由の筆頭と言えます。
1.2:AI 生成アプリもユーザー生成コンテンツのアプリになる#
1.2 の第1段落は、ユーザーが「create, generate, upload, share, or otherwise contribute content」するアプリを対象とし、SNS やユーザー生成コンテンツのプラットフォームと並べて「AI content creation apps」を名指ししています。リスクの例には「nonconsensual intimate imagery」が入っています。
Apple はニュースで、求める対応も書いています。「Apps that host user-generated content are required to filter objectionable material, give users a way to report offensive content, and let users block abusive accounts.」ガイドラインには新しい一文も加わりました。適切な安全対策を実装しない、または通知後も違反を是正しない開発者は「may be considered in violation of the Developer Code of Conduct」とされます。「Egregious or repeated behavior」は、App Store からの削除と Apple Developer Program からの除名の理由になります。
1.2 自体が求める要素は4つです。問題のあるコンテンツを除くフィルタ、「timely responses」を伴う通報の仕組み、悪質なユーザーをブロックする機能、公開された連絡先。画像、アバター、文章を生成するアプリなら、最初のバージョンから4つとも用意しておくのが無難です。結果を作成者本人しか見ない場合にどこまで厳密に適用されるかは、Apple は説明していません。それでも私は最低限を実装し、Notes for Review に流れを書きます。
2.3.14:クリエイティブアセットに入れてはいけないもの#
新しい項目が扱うのは、Apple が creative assets と呼ぶものです。「across the App Store, including the product page header and in search results」で使われます。除外されるのは、不適切なコンテンツ、「with an intent to mislead」の他アプリへの言及、「unverifiable product claims」、「specific or discounted pricing information」です。さらに、すべての年齢層にふさわしい内容であることも求められます。
画像に「本日50%オフ」や「$2.99」と入れるのは、このリストに当たります。サイズと形式はApp Store クリエイティブアセットのルールの記事に、画像とキーワードやカスタムプロダクトページの関係はキーワードとカスタムプロダクトページの記事にあります。
3.1.1(a) と第5章:短い2つの変更#
3.1.1(a) では、Music Streaming Services Entitlements の独立した項目がなくなり、StoreKit External Purchase Link Entitlements の項目に統合されました。リンク先は「permitted destination」で、承認される遷移先は「may vary by region」とされています。外部決済へリンクしていなければ関係ありません。
第5章は最も重いケースを扱います。人身取引や児童搾取を助長するアプリは App Store から削除され、「from alternative distribution」でもブロックされます。
ガイドラインの周辺#
今回の改定は単独ではありません。以下はいずれも Apple のニュースが出典で、リンクを付けています。
- 使用許諾契約。 10月13日に Apple Developer Program License Agreement の改定版が出ました。アカウントで承諾が必要です。変更には Group Purchases(1つのサブスクリプションに複数のシート)に関する Schedule 2 の条項が含まれます。
- 年齢制限。 7月9日のニュースによると、「Starting September 2026, you'll be required to indicate whether your app or game includes social media capabilities in order to submit new versions or updates」。主にユーザーコンテンツのあるアプリに関わります。
- ビルド。 Upcoming Requirements のページでは、アップロードに Xcode 26 と SDK 26 が必要です(2026年4月28日から)。2027年4月からは SDK 27 が必須になると、9月9日のニュースにあります。
- iPhone Duo。 10月5日のニュースによると、2027年4月から、提出するすべてのアプリに iPhone Duo のスクリーンショットが必要です。レイアウト側は対応ガイドにまとめました。
サブスクリプションの場合、ストアのメタデータにも独自の要件があります。サブスクリプションの規約リンクとガイドライン 3.1.2で整理しました。Lanternly 1.1 の前に、そのブロックを39件の説明文に追加しています。
提出前のチェックリスト#
- ビルドに、審査で見えない機能が入っていない。「承認後にオン」のフラグは、サーバー設定でオフにしているのではなく、コードがバイナリに存在しない状態にしてある。
- Notes for Review に、新機能が具体的に書かれている。
- ユーザーまたは AI のコンテンツがあるなら、フィルタ、通報、ブロック、公開された連絡先がある。
- ヘッダーと検索画像に、価格、割引、裏付けのない約束がない。
- 外部決済へのリンクは、その地域で許可された遷移先で、entitlement を通している。
- 使用許諾契約を承諾済みで、年齢制限のソーシャル機能の質問に回答済み。
まだはっきりしないこと#
施行日は書かれていません。2.5.19 が承認済みのバージョンにも適用されるのか、Apple は述べていません。「dormant feature」と通常のサーバー設定の境界も説明がなく、1.2 についても、出力がどこにも公開されないアプリで「appropriate safeguards」がどう判断されるのかは不明です。
Apple は更新されたガイドラインの翻訳を「within one month」に公開するとしているので、11月中旬ごろが目安です。それまでは英語の原文が基準になります。



